【下級生ユイの場合】
高校生になって初めての期末試験まであと2日。 学校中の生徒が足早に家路へと急ぐなか、ユイもホームルームが終わるとすぐにカバンの中に教科書やノートを入れていた。 そして、いつも携帯電話を入れているポケットに手を入れた。 “あれ?・・・ない。” 『私の携帯しらない?』 ナツミは友人のアヤカに問いかけた。 カバンに入れたはずの携帯電話が無くなっていた。 『アヤ、鳴らしてくれる?』 ユイに頼まれ、携帯を取り出すアヤカ。 着信履歴からユイの番号を探し、ユイの携帯に電話をかける。 ・・・・ 着信音もバイブの振動も聞こえない。 『どこかに落としたのかなぁ・・』 ユイは教室の中を探し始めた。 「もぉーっ!!」 呆れながらも一緒に探すアヤカ。 机の中、ロッカーの中、ゴミ箱、廊下、更衣室、・・ 考えられる所は全て探して・・・でも見つからない。 5時限目に授業のあった音楽室まで行っても携帯は見つからなかった。 「ユイちゃん。ごめん。今日、5時の電車で帰らないといけないんだ。」 アヤカは申し訳なさそうにユイに告げた。 『いいよアヤ。ありがとね。私はもう少し探すね』 ユイはアヤカにそう言うと、一人で携帯電話を探し続けた。 「ホント、ごめんっ」 そう言うとアヤカは教室から出ていった。 ひとけのない放課後に一人、携帯電話を探すユイ。 静まりかえった教室に戻り、もう一度机の中を探していると・・・・ ~♪ 聞き慣れた着信音が聞こえてきた。 “私の携帯っ!・・廊下!” ユイは音のする方へと走り出した。 そして廊下に出ると・・・・着信音は鳴り止んでしまった。 “あれ?・・・” ユイは立ち止まり辺りを見回した。 ~♪ また着信音が鳴る。 “あっち?・・・あれ?・・もっと先?” 音の鳴る方へと走るユイ。 しかし、全く音に近づいている感じがしない。 再び立ち止まり、耳を澄ます。 ~♪ 音に近づいたと思ったら鳴り止み、また遠くから音が鳴る。 ユイは不思議に思いながらも音の鳴る方へと進み続けた。 ~♪ “こっちだっ!” 音が聞こえたのは、体育館の方からだった。 ユイは体育館の方へと走り出した。 「簡単な鬼ごっこだよ。」・・・・・・ >>FC2ブログランキングへのご協力をお願いします☆ |
【ユイ体育館編】
体育館の中に入ると、着信音が大きく聞こえた。 “あった!” 体育館の隅に見慣れた携帯電話が落ちていた。 静まりかえった体育館の中に着信音が鳴り響く。 ユイは急いで携帯を持つと、番号を確かめずに電話に出た。 『もしもし・・・』 「・・・・・」 『もしもし・・?』 「・・・ユイちゃん?」 携帯の向こうから男の声がした。 『あの・・・どなた様ですか?』 携帯が見つかった安堵感からか、ユイは聞き覚えのない声に答えていた。 「俺だよ。」 『俺?』 「俺だよ。今からゲーム始めるから。」 『ゲーム?・・何の事ですか?・・・』 誰だか分からない相手からの話にユイは困惑した。 「ルールを話すからよく聞けよ。今から体育館の中に1人入る。そいつから1分間逃げ続けること。」 “・・・鬼ごっこ?“ ユイは何も言わず、ただ首を傾げた。 男は淡々と説明を続ける。 「簡単だろ?しかも、鬼を叩いたり蹴ったりしてもいい。」 さらによく分からないルールを言われ、ユイはただ黙っていた。 「でも、鬼は捕まえたら服を脱がしはじめるからね」 『えっ・・?』 ユイの顔色が一瞬で曇った。 そして咄嗟に体育館の入口の方を見た。 「大丈夫。逃げ切れば何もされないから。簡単な鬼ごっこだよ。」 『なっ・・何?』 ユイの言葉を無視して、男は話を続ける。 「10人の鬼から逃げ切れればユイちゃんの勝ち。捕まって裸にされたらユイちゃんの負けね。」 『やっ・・やだっ!やらないよっ』 焦って大声をあげるユイ。 「じゃぁ、鬼ごっこ始めるよ」 ガチャ・・・・・ 電話が切られる。 『ちょっと・・』 ユイは再び体育館の入口を見た。 “・・・・誰もいない。” 嫌な予感がしたユイは、体育館から出ようと入口の方向へと走りだした。 その時、入口から一人の男子生徒が入ってきた。 太股を撫でる手を掴み、必死で振り払うユイ・・・・・・ >>FC2ブログランキングへのご協力をお願いします☆ |
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